Made of Stoneを観た。


 シネコンに行き慣れてると、昔ながらの映画館は新鮮。なんて寒いトイレ!と思いながら、冷たい水で手を洗って指先の感覚を失う(笑)。みなみ会館は久々だけど、今回ばかりはここに来ないと!という上映だったのです。元々、昨年の年明けにこの映画のアナウンスを聞いて、うぉー!っとテンションが上がって、しかもロンドン滞在中に公開されるんじゃ!?と思ったら、ちょうどロンドンを発つその日がロンドンでの公開日だったのです。くぅー、あと1日早かったら、と日本に帰ってきても、大阪での10月の公開は難波で夜9時からのみ。無理ーっと思っていたら、みなみ会館で1週間公開されると聞き、これは!と雪ちらつく中出かけてきました。
 「ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン」、the Stone Rosesの再結成のドキュメンタリー映画なのだけど、まぁこれ見に来る人はファンばっかりだから、いいんだけど、映画としては多分あんまり高いクオリティのドキュメンタリー映画じゃないんだろうなぁ。何せ監督のシェイン・メドウズがファン過ぎて、冷静になれてないとう。後半、復活ライブツアーでヨーロッパを回っている最中に、アムステルダムのライブでドラムのレネがアンコール前に会場を出ちゃって、客席はブーイングでイアンも怒っちゃって、メンバー間の雰囲気も凄く悪くなって、ツアーの残り分もキャンセルになってしまう状態。でも、ドキュメンタリーだったらそこも撮るでしょう。でも、監督はストーン・ローゼズが大好きだから、そういう雰囲気の所を撮影したくない訳です。で、ショックな自分を自画撮りするという(笑)。「雰囲気もよくない、マンチェスターのライブは出来るといいんだけど・・・」とホテルのベッドに座って頭を抱えるショックな監督の姿を映されてもさー(笑)。その険悪になった所から一切、ライブ映像だけで、裏側の撮影が無いのです。スパーンと飛ばされて、いきなりマンチェスターの野外ライブになって、あぁちゃんと仲直りしたんですね、と何となく察する、みたいな。
 私がロンドンに留学していたのが1994年~1997年なので、ちょうど彼らの解散時期に重なるのです。かなり批判されていたり、メディアを賑わせていた時期だったし、思い入れというか、彼らの音楽を聞くと色んな思いがぐぉーっと。ハッピーマンデーズのショーンがブラックグレープっていうバンドで出てきた時(留学中なので95年くらいと思うけど)、膝から崩れ落ちたもんですが(可愛いマッシュルームカットの青年が、デコトラの運ちゃんみたいになってたのです)、ローゼズは皆、昔のままよねーっと予告編で安心してたのだけど、衝撃的にマニがぽっちゃり。プライマルの時だってそんなに太ってなかったと思うけどー、と思わず帰ってきて画像検索してしまった。しかし最後の最後で何だあのシャツの柄は、とマニには突っ込みたい(見た人しか分からないだろうけど)。
 帰ってきてから、彼らのCDばかり聞いている。この映画、ストーンローゼズのメンバーよりも、ファンの方の比重が多いんじゃないかっていうくらい、ファンの姿を撮ってるのです。ファンがどれだけ彼らの再結成に興奮しているか、どれだけ待っていたか。ファンの証を持ってきたら、先着千人を無料で招待とBBCラジオで告知がされると、瞬く間にツイッターやフェイスブックを駆け巡り、おっちゃんおばちゃんになったファン達は仕事を投げ出し、着の身着のままで駆けつける。「オヤジが危篤って嘘ついた」と必死で走ってくる人や、工事現場のドロドロの作業着の人も、赤ちゃん抱えて来る人も、みんなすっごく興奮してて、それが何とも胸が熱くなるのです。正社員の席を差し出しても、車を差し出しても譲ってくれなかった、もうちょっとで家を差し出す所だった、と千人に入れなかった男性は悔しがる。入れないけど、ここに居る、そうしたら近くに居たって言えるから、と。あぁ、もう凄いよね、この思い。40超えても、これだけの思いを寄せられる存在があるって、やっぱり幸せよねと。私は熱心なストーンローゼズファンとは言えないのだけど(ジョンがすごーく好みの見た目であったのが大きかったというミーハーさ)、でも20年以上ずっと聴き続けてる訳だから、やっぱりジーンときます。
 アルバムが売れるか心配じゃない?バンドは不安定だと思わない?というインタビュアーに「楽しいことをするのに安定とか考える?」と、若かりし頃のイアンは答える。あぁ、そうですよね、自分よりずっと若いあの頃のイアンに、ちょっと励まされたのでした。4月にDVDがリリースされるそうなので、買っちゃおうかなー。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA