「ハムレット」鑑賞。

ハムレット シアタードラマシティにて「ハムレット」鑑賞。蜷川シェークスピア、あと何回見れるんだろか、と思うとつい。でもハムレットって好きな戯曲じゃないんだよなぁと、思いつつ、段々と私、ハムレット楽しめるようになってきたかも、と最後見終わって思い始めたのです。
 藤原竜也君の蜷川ハムレットは10年以上前に見てるのです。藤原君は素晴らしかったのだけど、私、どうも蜷川さんのフォーティンブラスの解釈が分からなくって、今回もやっぱり、どう捉えてられるのかが、さっぱり。致命的だったのは、セリフがほとんど聞こえないレベルのささやきっぷりで、真ん中の席の私で聞こえないんだから、後ろの人は全く聞こえなかったと思うんだよなぁ。ハムレットは膨大なセリフ量のセリフ劇なのだから、セリフが聞こえないのは致命的。演出であっても、ささやくようなセリフ回しでも最後尾まで聞こえるように出来る役者さんは居るので、これはフォーティンブラス役の内田健司さんの力量不足というところなのかも。しかし10年以上前のハムレットでのフォーティンブラス(小栗旬君)は、叫べばいいってもんじゃないと思うけど、くらいにひたすらセリフを叫び続けてたのに、今回は聞こえないほど小さい声とは。極端だなぁ。
 12000円とかの高額チケットのお芝居ながら、周りの人で寝ちゃう人の多さったら。ハムレットとオフィーリアのラブストーリーみたいな写真がポスターやチラシになってるし、しかも今回オフィーリアは満島ひかりちゃんだし、ハムレットの内容を知らずにチラシを見てチケット買っちゃうと、退屈でしょうがなくって寝ちゃう、みたいな。私の前の席のおば様は、1幕20分以上遅刻してきた上(この日はホントに遅刻する人多くって案内役の方が足りないんじゃないか、くらいアチコチで)、5分で眠りに落ち、2幕もひたすら眠る、という一体何しにきたのか、みたいな。お隣の二人組みの女性も休憩時間、お芝居の話しは満島ひかりちゃんの顔の小ささだけで、2幕爆睡。前の方でも舟こぎな方々が目立っておりました。ハムレットって退屈ですもんね(笑)。
 今回、私は非常に満島ひかりちゃんに期待していたのだけど、舞台だと分が悪いのか、1幕の印象は上手い役者さんに囲まれて気の毒な印象。まぁでもオフィーリアは純粋無垢な1幕の方がどっちかというと難しいのかも。棒読みに近い状態で、慣れない言葉使いの上にセリフ量が多いから、どうしてもそうなるのかもなぁ。狂っていく2幕で何とか持ち直す、という感じ(でもその一番の見せ場で軽快な携帯の着信音が鳴るという不運)。今回、弟の満島真之介君がオフィーリアの兄役のレアティーズを演じるという、何だかややこしい配役だったのだけど、今まで見た中で一番イチャイチャした兄妹で、逆にこっちが戸惑ってしまう(笑)。そしてこの前、たまたまテレビでデスノートをやっていて何とはなしに見たら、藤原君とひかりちゃんが兄妹役で、ビックリ。共演経験あったのねぇ。
 狂ってしまったと周りに思われるように演じる本当は狂っていないハムレットを演じる(ややこしい)のと、本当に狂っていくオフィーリアだと、その部分だけでも圧倒的にハムレットの方が役者としては大変な訳です。やっぱり凄い。そして10年以上前に見た藤原君のハムレットに比べると緩急のコントロールを軽々とやってみせてる印象。膨大なセリフ量を朗々とよどみなく。
 演出に関しては、台湾とロンドンでの公演を意識してか、セットが長屋で、京劇、歌舞伎、ひな祭りなどの演出も入り、海外に日本のハムレット持って行きます、なジャパネスク仕様。前のが割りとシンプルな演出だったので、ゴテっとした演出のハムレットが見れて私は満足だったのだけど、ロンドンではどう評価されるのかな。バービカンセンターでやるらしいけど、その数ヶ月後に同じバービカンセンターでベネディクト・カンバーバッチのハムレットが上演されるのですよ(勿論チケットは即完売、何と3万人以上のキャンセル待ちとか!)。比べられる事は無いかもしれないけど、良い評価が下るといいな、と。

 80歳越えの役者さん達が凄い頑張ってられて(平幹二朗さんなんて凄い出番多いのに)、冷や冷やしながら見てたんですが、ハムレットの中で一番好きな墓堀りの場面の墓堀夫役の山谷初男さん(81歳!)、ほんっとに素晴らしかった。
 ラストはフォーティンブラスの王位継承で終るわけだけど、舞台奥のバルコニーでの登場の為、1幕では所々聞こえたセリフが全く聞こえず、なんだかなーな終わり方で。ハムレットを知ってると大体何言ってるか分かるけど、初めての人は、え?どういう事?みたいな感じだろうなぁと。蜷川さんが耳が遠くて声の大きさが分からない、とかじゃなければいいな、と思わずにいられなかった。でもまぁ、今までハムレットは好きじゃないと思っていたのが、色々と面白いと思えるようになってきたなぁ、というのが収穫かな。これなら野村萬斎さんのハムレットも見とけば良かったかなーっと思ったのでした。

 

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