保健所訪問その2

2回目の保健所訪問。今回は、前回窓口で対応してくれた、ちょっと厳しい人では無く、ワタシの住む学区を担当するSさん。

これから何度も通う事になる保健所では、Sさんにアポを取って、尋ねていく事になる。

Sさんに図面を見せ、最初に来た時に指摘された壁や天井の材質などの確認と最大の難点である床の排水の確保もする、という旨を伝えた。

で、ここで問題。私はジャムとお菓子を作る工房を作りたかった訳だけど、Sさん曰く、お菓子は「菓子製造許可」が必要で、ジャムは「缶・瓶詰め製造許可」が必要です。との事。ワタシは菓子製造許可だけ取れば、ジャムは作れると思っていたので、ちょっとビックリ。

ジャムは製造許可すらいらず、家の台所で作って売ってもいい、という地域さえあると聞くのに、ワタシの住む地域は結構厳しいようだ。

そして、菓子製造と瓶詰め製造の2つの許可を取るには、それぞれ菓子製造用のシンク瓶詰め製造用のシンクが必要との事。「2槽式シンクでいいんですよね」と言うワタシに、「いいえ。それぞれ独立したシンクを2台、という事です」とSさん。

「独立したシンクが横に2つ並んでていいんですか?だったら2槽式と変わらなくないですか?」と言うと、「いいえ。出来れば別の場所にコッチは菓子用、こっちは瓶詰め用、というふうに分けて置いて欲しいんです」

えーーーーーー!!!!無理無理無理———。たかだか7m2の場所に手洗いとシンク2つなんて置く場所無いですーーー。と頭を抱える。すると、Sさん、「あくまで今言ったのは理想的な設備で、もし既にシンクを手配されてるのであれば、2槽式のシンクの左側を「菓子製造専用」にして右側を「瓶詰め専用」で、という区切りを図面に付けて頂ければ結構です」と。な、なるほど、一気に歩み寄って頂き、感激だわ。


しかし、この後も事あるごとに「菓子製造」「瓶詰め製造」の2つの許可を取る、という事で問題が多発する。

作業スペースにしても、「菓子用」「瓶詰め用」を別々に確保せねばならない。大きい作業台を1台置けばいいやー、と思ってたのだけど、その区切りを付ける為に、小さな作業台を3台置く事にした。1台は菓子用、1台は瓶詰め用、もう1台は包装用。

Sさんの説明によると、製品を製造する場所と、それを包装する場所とは、ちゃんと分けないといけない。との事。

複数の人が働く食品工場では、異物混入を防ぐ為にもそういう規定が必要と思うけど、私は一人でやってくわけで、製造と包装を同時にやる事は無い。ワタシの中ではジャムを作る日、お菓子を焼く日、包装する日、と日を分けてやってくつもりだったので、作業スペースを分けなくても問題無いと思ってたのだけど、そうもいかないみたいだ。


結局、菓子製造だけでも、2台の作業台は必要だったわけね、と思いながら、消しゴム片手に何度も何度も、図面に作業台のサイズを変えながら書き込んでいった。

工務店さんを決める

電話してすぐに来てくれたH工務店は、とにかく細かく細かく隅々まで図って、写真も各所で(ひぇー、そんなトコまで!?というトコまで)撮り、後日、丁寧な図面と共に、この図面通りで良ければ見積りを出します、というような対応で、こりゃー、キッチリしてる!という印象。

一方、1週間後に来てくれたI工務店のIさんは、初対面から親戚のオジサンみたいなノリで、何でも言いやすそう。「図面はざくっと自分で描いてみ、ワシそれ見て色々言うたるから」みたいなノリ。

この時点で、ワタシの心は凄く揺らいでいた。もし頼むならキッチリH工務店か、はたまたフレンドリーI工務店か?

でもまぁ、ここではまだ工房を作る事を決断していたわけではなく、あくまでやるんだったらいくらかかるんだろう、という軽い気持ちだった。

なので、隅々まで時間をかけて寸法を図り、写真を撮るH工務店さんには、「なんか申し訳ない」という気持ちだった。一応、自分の中でいくら以上かかるんだったら諦めよう、とボーダーラインを決め、両社の見積りを待った。


まず出たのはキッチリH工務店。値段を見て、ちょっとホッとする。「あぁ、これだったら何とかなるかも・・・」ボーダーラインのほんのちょっと下だったのだ。うん、やろう。心が決まった。

そして遅れる事1週間、フレンドリーI工務店からオジサンがやってきて、「思てたより高いでー、水もガスも引かなあかんし、コンクリも排水確保の為には掘らなアカンし、ねーちゃん思てるより高いんちゃうかなー。ナンボくらいや思てるんや?予算は?」と、見積り出す前から、オジサン弱気発言。で、出てきた見積りは何と、H工務店よりぐっと安かった!!!

かくして、ワタシはフレンドリーI工務店に施工をお願いする事にした。H工務店に断りの電話を入れた後、何度も何度も定規とエンピツで図面を書いては、ネットで探した作業台やシンクのサイズをはめ込み、工房計画に着手した。

手書きの図面です
手書きの図面です

施工屋さんに見積りを取る

保健所に話も聞きに行った事だし、せっかくなので、その資料を元に施工屋さんに見積りを取る事にする。

勿論、保健所の人が言った通り「お金がかかる」のは承知の上だけど、それが50万円なのか500万円なのか、という事くらい分かってからでも、あきらめるのは遅くないかなーっと。

まずは、我が家を20年ほど前にリフォームしてくれたH工務店と、母の友人が安くて色々と工夫してくれるよ、と紹介してくれたI工務店の2社に家を見てもらって見積りをお願いした。


保健所から貰った資料を見せ、床、壁、天井などの素材の規定などを見てもらい、

  • お湯の出る給湯器がついた二槽式シンク
  • それとは別に手洗い施設(お湯は出なくていい)
  • 床には水が流せる排水の確保

という絶対に必要な設備を伝え、あとはワタシの希望として、

  • ガスオーブンレンジをつけたい。
  • 出来る限り安く出来る方法で!

という事を伝えた。場所は玄関横のガレージ。床はコンクリートだし、壁も天井もモルタル防火加工もしてあるし、寝室や使ってない2階部分を使うより、ガレージを改装するのが一番お金がかからないとの事だった。

工事前のガレージの様子
工事前のガレージの様子

保健所訪問

「お菓子とジャムを作る」という、漠然とした思いはあった。お菓子とジャムの製造許可を得る為に必要な設備は何だろう?

自宅で製造許可を得るには、住居スペースとは別にもう一つ台所が必要になる、というボンヤリとした知識しか無かったので、一体、どうすれば菓子製造許可が取れるのか、説明を聞いた。

この時点では、自宅を改装する案と、別に安いマンションを一部屋借りて工房にする案、の2案が頭の中にあった。

後々気づくのだけど、この時対応してくれた方は「理想的」な設備を説明されたのだと思う。


自分が工房を作ろうとしている場所や壁や床の状況をざっくり説明すると、

「あー、お金かかりますよ、難しいですよ」というような返答をされる。

特に床の排水確保が難しいから、大変なんですよーっと、気の毒がる対応をされ、なんだか、「オマエには無理だ」と言われてる気がして、なんだよー、もうちょっと歩み寄ってくれよーと思いながら、一通りの説明を聞く。

「まぁ、色々とクリアして貰わないといけない決まりも多いので、もう一度目を通してもらってお考え下さい」と資料を渡された。

床はコンクリートかモルタルで、しかも必ず水が流せる排水が無くてはいけないという、絶対に守らないといけない規定がある。

これをクリアするのに、マンションを借りて工房にするのはどう考えても無理そうだ。家を改装するとなっても、かなり大掛かりになるんじゃないだろうか・・・。

きっかけと思案

企業の中で仕事を続けるのに、日々、増すばかりのジレンマを持ちつつ働いていて、体調は崩すし、夜中にうなされるしで、これ以上働いてもいい事ないなーっと思い始めた。

それじゃ何か1人でやってみるかなーっと漠然と思い始めた。周りの人は、「カフェとかやったら」とか、「お店を開いたら」と言うが、そこまでの資金は無いし、返済の為に働くのはやっぱり性に合わない。

じゃ自分の身の丈に合った中で、やりくりできる事を探ってみよう、とネットで色々と調べると、やっぱりお店やカフェは物件を借りなくちゃいけないし、居抜きの物件でも、相当な資金が必要な感じ。

何より家賃というランニングコストに苦しみそうだ。


一番お金がかからなくって、やりたかった事が出来そうな案は、自宅を工房にして、ネットで販売する方法のようだ。

自宅で製造したお菓子などを販売するにあたっては、保健所の許可が必要で、色々と調べていくうちに、申請する市町村、区域によって食品を扱う許可申請の規定が、随分違う事が分かった。

とりあえず話を聞く為に、近くの保健所に行ってみようと、はじめての保健所訪問をした。