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「鉈切り丸」を観た。

2013 年 10 月 24 日 木曜日 18:51

 「鉈切り丸」オリックス劇場。多分、毎回見てると思うのだけど、いのうえシェイクスピアは第何弾なんでしょうか、今回はリチャード3世を鎌倉時代に置き換えての挑戦。以前にやった「リチャード3世」はセリフもそのまま、真正面から挑みました、っという感じだったのが、今回はコント風なところもあり、ダンスもあり、生バンドだったし、新感線に近い感じ。主役は森田剛君。IZOが素晴らしかったと聞くけど、私は見に行けなかったので、今回は結構期待して。
 主役の森田君はノートルダムのせむし男のような出で立ち(写真の通りな感じです)。足を引きずり、常に屈んだ姿勢で声を張り上げるのは大変な事だろうなぁ。醜い見た目ながら舌先三寸でのし上がる、という演出家ならば惹きつけられる題材のリチャード3世。いのうえさんも今回、3回目のリチャード3世だという事で(2回目は朧なのかなぁ?)、かなりかなり分かりやすく、見やすく、登場人物の多さでこんがらがったりもしないように見せてくれる。なるほどねぇ、と思いながら見ましたです。今回、チラシの中に配役表が入ってなかったので(私のだけかも)、誰が誰やらってなるかなーっと心配したけど、1階の真ん中より前の席だったので、肉眼で顔が判別出来たので、良かった。最近のチケット運、凄く良くって、年明けのクドカンのも前から3列目だか4列目だった。ここ5年くらい不遇のチケット運だったので、やっと巡ってきた良席に心躍らせております。

 生瀬さんと若村真由美さんが素晴らしかったですねぇ。いっけい先輩が出てるなら、古田新太さんやベテラン新感線の役者さんがいっぱい出て欲しかったなぁ、と。いっけい先輩は、途中、生瀬さんとのシーンでセリフを噛んだか飛んだかしたみたいで「も一回お願いします」と突然言って、勝手にやり直しちゃうという暴挙に(笑)。
 あと須賀健太君が予想外に素晴らしかったです。殺陣も上手いし、声の通りも良いし、舞台の上での透明感もあって、ビックリ。これからドラマや映画でも大人の役者さんとして活躍していかれるのではないでしょうか。成海璃子ちゃんは声の通りが悪くて(こもるというか、くぐもるというか)、セリフが聞き取りづらいところもあり、ちょっと残念な。怒ってる口調が多い役だったので、余計にかな。可愛らしいセリフの多い、若村さんの娘役の方が良かった気がするなぁ。森田君は、徹底した憎まれ役を演じてました。古田新太さんのリチャード3世は、酷い男だけど何か惹かれる魅力と色気あるわーっという感じだったのだけど、森田君のは、うわー救いの無い酷い男!という感じでした。ずる賢い頭脳プレーや口八丁だけならまだしも、自分の障害を盾にして、相手を油断させてみたいな超姑息なやり方も、とにかく上り詰める為には罪悪感一切無しで、暴挙の限りを尽くすのです。暴力もちょっとやり過ぎ?くらいの表現だったのもあって、あなた殺されないと納得出来ないから!みたいな(笑)。リチャード3世を見る時って、こんなに上りつめたのにこれから死んじゃうのねー、刹那よねーっと、思う事が多いのだけど、今回のは最後、殺されてほっとするというか。最後は3階まで、オールスタンディングオベーションでした。内容もヘビーな上、3時間以上のお芝居だったので、見る方もかなりの疲労度でした。年内の観劇はこれにて最後、クリスマスに向けて頑張って働かねば!

チェーホフの「かもめ」を観た。

2013 年 10 月 10 日 木曜日 16:45

 今年初めての観劇です(イギリス旅行に向けて節約していた為)。シスカンパニー「かもめ」in シアターBRAVA。ついこの前、藤原竜也君主演でやってたと思うのだけど、チェーホフの「かもめ」は人気の戯曲なのですねぇ。
 ケラリーノ・サンドロビッチ演出のチェーホフ、めちゃめちゃ楽しみでした。ケラリーノの戯曲にはチェーホフへのオマージュがチラホラ見える事があるので、チェーホフへの愛はきっと大きいはず、と思っていて、でも主演が生田斗真君なので、チケット取れるかなーっと思っていたら、何と一番前の席が取れました。ひゃーー毛穴まで見える、唾も飛んでくる、という距離ですよ。客層はやっぱり生田君ファン、という感じの方が半分以上で、キャッキャした女性が(年齢層の幅は広め)多かったです。
 期待を裏切らず、本当に素晴らしかったです。チェーホフの戯曲をストレートに、ホントに何も変えずにきっちりやってるのに、ちゃんとケラリーノらしさも出てて。チェーホフの4大戯曲のうちのあと3つも順にやっていくという事なので、全部見れるといいなー。一番印象に残ったのは大竹しのぶさんと野村萬斎さんの素晴らしさ。この2人のシーンは、ホントに口開けて見ちゃうというか、浮気しそうな男を引き止める女、というシーンの大竹さん、凄かったです。野村萬斎さんの役は、何だか嫌な男ーって感じになるハズなのに、品の良さが全然そう思わせなくて、そりゃ惚れるわな、という感じ。後ろの列の4人組キャッキャ女子達、生田君ファンなのに最終的に「萬斎さんかっこいいー」ってなってましたからねぇ。山崎一さんはケラリーノのお芝居に出てると安心するなぁ。
 ケラリーノらしい笑いも所々に入れて、でもストーリーの邪魔には全然ならない程度で。戯曲の力強さに対抗する感じじゃなくて、乗っかっちゃう感じで。久々の観劇という事もあって、忙しい時期なので、何でこのチケット取っちゃったんだろうって思ってたのに、ホントに良い時間過ごせました。蒼井優ちゃんは細くて顔が小さくて、後ろの列のキャッキャ女子達は「骨から違う」って言い合ってましたが(笑)、ホントに可憐でしたねぇ。声も発声も良いので、舞台向きだなぁと思いました。生田斗真君も一途で繊細な青年にぴったりでした。今月はもう1本あるので楽しみー。
 

「the bee」鑑賞。

2012 年 6 月 2 日 土曜日 18:32

  NODA MAP番外公演「the bee」鑑賞。場所はOBP円形ホール。小さい劇場なので、舞台が物凄く近い。瞬きも分かる距離というのは久々だ。そして野田さんのお芝居も久々。松さんの「罪と罰」以来だろうか。大体、野田さんのお芝居って全然関西に来ない。東京では完売でも、関西では余ってたりする事が多い上、当日券あります、と大きく入口にあったので、ちょっと心配してたけど空席は無かった。
 70分っていう短いお芝居のハズなのに、見終わったら3時間近いお芝居を見た疲労感なんですけど。演劇の底力を見せられた気がする。こういう小さな劇場でのお芝居、もうちょっと見るべきかもしれない。
 筒井康隆の短編が原作なのだけど、脱獄犯に人質にされた被害者の家族とその脱獄犯とその脱獄犯の家族の話し。暴力には暴力を、被害者が加害者に。普通のサラリーマンが、狂っていく様を野田秀樹が全力で演じる。まぁ、野田さんは常に全力感あるけど、今回は見てるこっちがシンドイくらいの振り絞り感。

 役者も小道具も2役3役を兼ねる。急須はアイロンになり、ゴミ箱は野球帽を乗せれば子供になる。役者の巧みさと観客の想像力。創意工夫で豪華な舞台セットや凝った小道具の必要性を全く感じさせない。指に見立てた鉛筆をポキっと折るだけで、血のりも使わず、今そこで指を包丁で切られた痛々しさを感じさせる。

 宮沢りえちゃんは、初の汚れ役という事だったけど、汚い言葉を使ってもひどい扱いを受けても、やっぱり最後まで美しい。スラーっと伸びた白くて細い足をギリギリまで見せられると、同性でもため息もので凝視しちゃう。そして池田成志さんが出てくると、俄然安心感が(笑)。何でしょう、この人の、出てきただけでその場が一瞬で胡散臭くなる独特の存在感。コンドルズの近藤さんは初演と同じキャストという事だけど、私はコンドルズ以外の舞台上で見るのは初めて。身の軽さはさすがだけど、野田さんも負けて無いところが凄い。
 
 やっぱり天才なんだろう。こんなお芝居、野田さんにしか作れない。関西に来ないなら、東京まで見に行くべきかもしれない、とさえ思わせる圧倒的なオリジナリティ。ニューヨーク公演やロンドン公演のお客さんのインタビューをyoutubeで見て、あぁやっぱり響くお芝居なんだなぁと。

↓こちらは英語バージョンの動画。宮沢りえちゃんの役は野田さんが演じ、野田さんの役はイギリス人女優のキャサリン・ハンターが演じてます。